代表メッセージ
NPO法人ムラツムギ共同代表理事の前田陽汰です。
私は高校3年間を島根県の離島、海士町で過ごしました。
地域活性化の現場を直近で見ながらも、活性化に疲れた地域はどうなるのか、過疎化の中で生活者の抱く寂しさや罪悪感は拭えないのかと、地域活性化以外の選択肢のない現状に違和感を覚えました。
高校時代お世話になっていた海士町社会福祉協議会のスローガンに「生き生きと死ねる島づくり」とあります。島には病院がなく、島で死ぬことを本人が望んでもそれが叶わないという現状があるからです。
ここで使われる「死」すなわち最期には、意志ある最期を迎えようという前向きな意味が感じられます。
一方でまちづくりにおける最期は強くタブー視されています。住まれてきた家が空き家になること、人々の拠り所であったお寺が継がれなくなること、集落が無住化すること。
すべてが外部不経済を切り取って「問題」として語られてきました。これらは喪失の不安や悲しみ、罪悪感など、様々な感情の伴うことです。
現状に抗うことなく、変化を受け容れるという選択肢がある土壌をつくり、そしてその勇断が報われるような社会づくりに寄与する団体を目指します。
NPO法人ムラツムギ共同代表理事の田中佑典です。
さかのぼること5年前、TEDxSakuというイベントで「ふるさとの看取り方」という概念を提示しました。失われていくふるさとに対して何ができるのか、自分なりに答えを見つけたいと思った長い旅路のすえに思いついた考えでした。
「ふるさとの看取り方」とは、形としてふるさとは無くなるかもしれない、でもその前にその地で育まれた文化や伝統、風景、思い出を何かしらの手段で残し、住民が納得のいく形で終わりを迎える準備の必要性を訴えています。
今も手元にふるさとの「村史」を置いています。
この村史のおかげで、自分は自分のルーツをたどることができ、この村との繋がりを実感できました。
何がその人にとっての「村史」かは様々だと思います。
人との繋がりや日常の風景、石像、伝統行事、色んな答えがあるでしょう。
縮小していく社会の中で、そのままの形は難しくても、どうすれば住民の方々にとって大切なものを一緒に残すことができるか、ともに考え、実行していく団体にしていきたいと思います。